多様な遊びの好機を誘う環境つくりを優先池田保育園

  • 【緑化された遊戯室の屋上 (空飛ぶ緑のじゅうたん)】円形の遊戯室の屋上緑化は、遊戯室に断熱効果をもたらすだけでなく、空飛ぶ緑のじゅうたんとして屋上も園庭の一部になります。また、屋上へのスロープを含めて遊戯室そのものが遊具となり、緑の保育園の象徴としてのランドマークともなっています。
  • 【園庭】芝による緑化により日射の照り返しを防ぎ、ヒートアイランドを防止。雨水は全面透水させ、敷地に保水力を持たせます。芝の気持ち良さを肌で感じることができ、土の園庭と異なり埃がたちません。野草の芝を使用することで低コストで維持管理可能。
  • 【砂場】敷地の高低差を利用し、すべり台、枕木の塔、月の石、バンプ、吹き流しボール等々を配置しました。作り込まず、子供達が自ら遊びを発見できる「余地」=「遊びのタネ」を残してあります。
  • 【枕木デッキのおさんぽ小みち】園庭と保育室の前面を結ぶ小みちは、保育室の室内環境の向上を図ると共に、東側を流れる辛沢川との一体性を醸成します。小みちの枕木デッキは、日射の照り返しを防ぎ、透水効果があり、敷地に保水性をもたせます。
  • 【玄関ホール】内装材は天然素材(床、腰壁、天井には天然のムクの板材、壁は珪藻土仕上げ、塗料は天然系塗料)を使用。子供だましでない本物の、命の通う素材に囲まれた環境は、子供の感受性を育み、健康にも寄与します。
  • 【内部廊下】大きな開口部において採光・通風を有効に取り入れ、冷暖房の使用を極力抑えられるような工夫を施しています。ぐるぐる走り回れる曲線を描いた廊下は、子供達の「動の遊び」を刺激する空間でもあります。

動の遊び、静の遊び・・・あらゆる子どものあり方を受けとめ、豊かで自由な“遊び”の好機を誘う環境づくりを優先させ、遊びのタネをあちこちにばら撒いています。
安全第一はもちろんのこと。大きな開口部において採光・通風を有効に取り入れ、内装材は天然素材(床、腰壁、天井には天然のムクの板材、壁は珪藻土仕上げ、塗料は天然系塗料)を使用しており、シックハウス対策は万全です。
陽が差し込み、風が通り抜ける空間は、子どもたちのみずみずしい感受性を育み、命の成長期に欠かせない要素です。
2004年には、岐阜県の「21世紀ふるさとづくり芸術賞」で、多治見市池田保育園は優秀賞を受賞しています

建設主 多治見市
延べ面積 1340m2
構造・規模 園舎(鉄筋コンクリート造一部木造 2階建て)
遊戯室(鉄骨造一部鉄筋コンクリート造平屋建て)
竣工 平成15年3月
撮影 XIU企画、西建築設計事務所

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自然エネルギーを利用した、遊びがテーマの保育園

2016.12.05
池田保育園は「遊び」をテーマとして計画し、園内の随所にいろいろな要素を「遊びのタネ」としてばらまきました。特に外部空間は100種類に及ぶ植栽類をはじめ、芝の園庭、遊戯室屋上の芝生広場、斜面を利用した遊び場など、こどもが園内いたるところで自由に遊べる場所を設けています。太陽を浴び、風を感じ、雨音を聞き、草花に触れ、遊びを通し全身で自然を感じながら、いろいろな事を発見し学んでもらえたらという思いでつくり上げました。
また、ハード面では、こうした自然エネルギーを実際に利用するシステムとして、雨水利用や太陽熱給湯システム等へ組込んでいます。
(西建築設計事務所/川尻秀樹)